詩を書いていたりします

時おり、詩のようなものを書いてきました。すみません。吐き出させてください。

つまらないのは

つまらない仕事
ああつまらない仕事のおかげで
お菓子が買える
おもちゃが買える
それがなくとも子らは育つのだが
酒が買える
映画の遊園地の旅列車の券が買える
それがなくとも一家は飢えないのだが
ああ買える

瞬く間に費やされ
それなりに肥やしにはなりますが
これだけが肥やしではないはず
これだけが手段ではないはず
だからつまらない仕事なんて



つまらない仕事
ああつまらない仕事のおかげで
働いているつもり
義務を果たしているつもり
ほかの誰かでも務まるのだが
自分で望み段取りし形にしたつもり
立派な大人のつもり
ほかの誰かから譲ってもらった仕事なのだが
ああつもり

いつしか慣れて
それなりに顔が立ち胸も張れますが
こんなことが誇りではないはず
こんなこと自分だけではないはず
だからつまらない仕事なんて



そうだね
仕事したくないんだね
君に腹を立てる僕も実はね
でも仕事しないってこともしたくないなぁ

語りたければ働け
働かざる者語るべからず



つまらないと思っているのだろう
でももう気がついただろう
つまらないことの
根源
そんなこと認めたくない
そんなこと書きたくない
したくないしたくないしたくない
何言ってるんだよ
しないでは済まないだろう
自分だけでは済まないだろう

そうとっくに知っていた
自分なのだと

                                   2018.1.7

 

 

 

 

 

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以前に書いた詩ですが、

泣き言を言うにしても、ずいぶんと贅沢を言ったものです。

よって、どうかご心配なさらず。

ちらと見ていただけたら、それだけで贅沢というものです。

 

 

 

 

 

  

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誕生日会には

息子の五回めの誕生日
プレゼントにはどんなおもちゃが良かろうか
知育玩具に期待し過ぎないほうが良かろうか
親の方が夢中になるしねぇ
デパートとか遊園地並みのところ
せめて複合施設に連れて行ってやらねば
上の娘はケーキが食べられることで頭がいっぱい
いちご味かチョコ味か弟に答えさせようとして
肝心の主役は姉の意図に気づかない
誕生日ってなかなか忙しいねえ
でも忘れてないぞ妻よ
つまりは五年前の今日
君は腹を裂く手術をした
二度めの

痛かったろう
書くことぐらいか
この夫にできるのは
言い出したのは君
もとより代わってやれない夫には止めようもなく
もちろん少しでも痛みが少ないようにと願い
などと書くのはずるいことだ
子らはけんかばかりだが
相手があるからできること
もう一人いるからできること
妻よ君の勇気のおかげ
こんなにも救われている
大げさじゃないまぎれもない事実

五年前の今日
娘も頑張ってたぞ
もうすぐお姉ちゃんになるとはいえ
母のいない初めての夜だったはず
この無力な父の心配もよそに
泣きもせず
その小さな胸中でも涙しなかったかどうか
翌日笑顔で見舞いに行けた
さては妻よ君の方がわかっているな

君は最近よく言う
息子を褒めてやって
息子はちょっと叱るとすぐ泣く
この未熟な父の感情的な接し方も悪かろうが
この未熟な父の幼少期と全く同じ
ああもうこんなところばかり似て
軌道修正を焦りやきもき
また悪循環
息子は僕にトイレに行けと言う
涙は見せない見せたくない
というわけか
この鈍い父でもその小さな背中は読めるぞ
妻よ僕だってこういう変化は評価しているんだ
でも褒め方が足りないか
でも褒め方が下手なんだな

褒めると言えば妻よ
僕は君を褒め労おう
子らにはあんなにやきもきさせられたのに
まだ五年
もっと長い時間だったような
ならば何年だったら納得するのか
それも思いつかない
そんな時間を妻よ
君はここまでつないでくれた
よくぞここまで
そしてこれからも
よろしくお願いします

また誕生日会しよう
ささやかでもいい
次は娘の八回め
おっとその前に君のが
ほら忘れてなかっただろう

                                               2018.1.10

 

 

 

 

 

 

 

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お誕生日の木、

ということにしておきましょう。

 

 

泣くも笑うも

君が泣いている時に僕が泣けない

何故か(あるいは何故ならば)

僕が泣けば君が泣かずに済む

というわけではないという現実

 

 

幼い頃、泣くな、とよく言われた。

今なら解る。泣くなと言うべき立場になった、今となっては。

全く泣いてはいけない、というのではない。

まだ泣く時ではないだけ。泣くのは、まだずっと先。

今はまだ、ほんの序の口に過ぎない。

 

 

笑えよ笑え

笑いたくなくても笑え

笑えなくても笑え

笑わなければ敵が笑う

 

「ほうら思ったとおりだ

望みが叶ったぜ

あの不幸せな顔

ざまあみろ」 

こんなこと言わせていいのか

 

笑えよ笑え

怒りながら笑え

戦って笑え

笑えば敵が笑えなくなる

 

泣いたりするな

泣く時間がもったいない

笑うが勝ちよ

笑い飛ばせ

 

笑えよ笑え

一つでも笑え

にやにや思い出し気持ち悪く見えても笑え

笑えば幸せ

 

       2018.3.1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予約投稿です。
これが年明け最初の投稿になるはず。
自分に言い聞かせるつもりで、載せます。

 

 

 

 

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たなくじ。田中さんはカットさせていただきました。

 

今年もよろしくお願いします。

読んでくださった方には、きっと大吉が出ますよ。

 

喰い入るように

妻の寝姿を見つめた
喰い入るように
ヒゲも剃り忘れて
よれよれの靴下が自分に似る

君の鏡を貸してくれ
何を見るって鼻毛がちくちくして気になるんだ


助平は鼻毛が伸びるのが早いんだとよ
ちぇっ昨日切ったばかりなのに

                                            2018.1.7

 

 

 

 

 

 

 

この詩について、
言い訳はしませんよ。
と思ったけど。
それもある意味、言い訳ですな。

というわけで、今からヒゲを剃ります。

少々ヤケ気味な、今年の締めくくりです。 

 

 

 

 

 

読んでくださった皆さま、ありがとうございます。

来年も気長にお付き合いいただけると、ありがたいです。

皆さま、良いお年を。

食事

お前たちはなんでそれを食べないのか
毒が入っているわけでもなし
お前たちはなんでそれを食べないのか
この父が焼いてお前たちが下手だと言ったあの目玉焼きでもないのに
お前たちはなんでそれを食べないのか
ピーマンすら入ってないのに

遠い異国では
わずか二カ月の乳幼児が餓死したそうな
戦争のために
つまり不作や飢饉ではないのだから
戦争さえなければその子は生きられたはずなんだ

お前たちはなぜかそれを食べない
泣いたりごまかしたり
お前たちはとにかくそれを食べない
そんな頑ななところばかりこの父に似て
なるほどそれを食べないからといって
お前たちが餓死するわけではない
お菓子を食べジュースを飲んで
お前たちは餓死はしない
太って虫歯になっても餓死はしない
大好きな母や祖母にため息をつかせても餓死はしない

お前たちはなんでそれを食べないのか
この父が無理強いしているとでも言うのか
たしかにあのニュースは遠い異国の話だが
今この国で起きていないと誰が言い切れる
この食事を
いつか食べられなくなる日も来るんだぞ
この食事は
お前たちの大好きな母が作ったこの食事は
金や権力では口にできないものなんだぞ

                                                   2017.10.31

 

 

 

 

 

子育ての下手な父です。

贈るものを探して

まだ新妻というべき君が編んでくれた
マフラーを僕は無くした
お義父さんが孫娘つまり僕の娘に買ってくれた
三輪車を僕は無くした
マフラーはおそらく電車で
三輪車は公園で
置きっぱなし
三輪車は写真があるが
(娘がこいでお義父さんが後ろから押して)
マフラーは存在したという記憶だけ
忘れてたの?
覚えてたから今書いているんじゃないか
って結局怒られるよね
暗い寒空の下で書いているんだよ
って結局怒られるよね

なんで思い出したかって
クリスマスのプレゼントを探していて
何を贈ればいいのか途方に暮れて

そう
お義父さんは知っていたはず
何も言われなかった責める言葉は
代わりに言われたのは
「お前は喧嘩が弱いだろうから
 お前の息子には俺が武術を仕込んでやる」
この洞察力だから
お義父さんは知っていたはず
何も言われなかった責める言葉は
代わりに言われた約束は果たされないまま

こないだの職場での朝礼のテーマ
「今までで一番嬉しかったプレゼントは」
ときた
僕は何の話をしたと思う
僕は何を話したらいいか分からなかった
決められなかっただけ
そう思ってもらえるとありがたいけど
結局何の話をしたと思う
お義父さんが残していった本の話をしたよ
直に譲り受けたわけでなく
断りの言葉ももう宙に舞うだけ
勝手に線を引いたり折り目をつけたりしている
という話
義兄さんにも君にもまだ話してなかったね
隠すどころか
僕らの子供たちにも義兄さんとこの子供たちにも
いつか話したいんだ

プレゼントはまだ決まらない
見つからないと言った方が正確か
考えてみれば旅行の土産選びも下手だったな
社員旅行の土産なんて赤面ものだ
あの時はウケを狙ったつもりでも今思い返せば
だからここ数年は頑張ってピックアップしても
最後は君の審査に頼る始末
クリスマスのプレゼントはそうはいかないよね
せっかくのクリスマスなんだから
君へのプレゼントなんだから

奔走しなければ文字どおり
さっき書いたとおり
大切なものを無くしたのだから
一つどころか二つも無くしたのだから
いやもっとあるかも?
なんで無くしたの
君から問い詰められたら僕は答えられない
なんで無くしたんだろう
捨てるつもりはもちろんなかった
まだまだ必要だった
捨てようかと思うものはほかにあるのに
よりによって

要らないものがなくなっても
無くしたとは言わないなあ

百貨店に場違いな男が一人
ヒゲも剃らない
閉店間際だし
不審者に要注意ですよね
すみません
今日は持ち合わせが足りないんで
また来ます

                                                        2017.12.21
                      クリスマスに向けて毎冬慌てて

 

 

 

 

 

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イオン、モーリーファンタジーにて。

 

無題

他人がいなくても生きられるのに
コンビニやスマホが無いと生きていけない
ということか

目をそらしたいのはお互いさま
聞いてもらいたいのは
聞きたくないのは

そろそろ気がついただろう
君の話は聞いてもらえない
話を聞いてくれだなんて甘え
だとか連中は言うだろう
文章も音声もなしで

何も考えていない
あるいは
自分の都合ばかり考えている

世界は独りよがりに満ち溢れ
所詮人生はすれ違いの連なりにすぎない
かもしれないと続けたいのだが
かもしれないでは済まないとしたら

独りよがりを赦されたければ
一人になるのが最短
こうして孤独が増えるわけだ

平和だと?
悪魔たちが息をひそめているだけだろ
油断して大切な者たちを危険に晒すくらいなら
疑心暗鬼に魂を売るぞ僕は

怒りながら眠る
何が楽しくてそんなこと
どうにしろ眠れない

題は付けないでおく
                                                  2018.1.14