詩を書いていたりします

時おり、詩のようなものを書いてきました。すみません。吐き出させてください。

容赦を乞う祈り

神様
我が子らを孤独から守りたまえ
不信心者になって久しい僕ですが
不信心のくせに祈りなどおこがましいことは百も承知ですが
神様
我が子らを孤独から守りたまえ

神様僕のこの祈りは
やはり間違っているのでしょうか
孤独はべつに悪でも災いでもない
ごく自然なこと
自然に人にしみついている
しょせん人は孤独だと受け止める
それだけのこと
僕もだいぶ身に染みてきましたが
ああやはり祈りたい祈らずにいられない
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

ではどれくらい歳を重ねれば
孤独に慣れさせようか
ですから神様
ご容赦ください
孤独に慣れた者など僕には想像がつきません
修道士や隠者のエピソードをいくら聞いても
僕には想像がつきません
彼らも厳密には孤独ではなかった
あなたの存在によって孤独ではなかった
ああだから祈りたい祈らずにいられない
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

容赦などと
孤独はお前が望んだことではないか
孤独は人間が望んだことではないか
たしかにそうかもしれません
望んだかもしれません孤独を
でもあくまで僕個人が望んだことです
子らはまだ孤独を知りません
孤独というべき状況を経験しても
それに孤独という名があることを知りません
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

子らにはまず母親が要る
なるべくなら父親よりも母親が
たとえ父親が欠けても母親が
女親と比べて男親がなぜ劣るのかといって
笑顔が格段に足りていないのだ
子らには次に友達が要る
一緒に登下校する友達が
遊び友達が話する友達が
どんなにくだらない内容でもかまわない
また会いたいと明日を待ち望む理由になれ

孤独を望んだお前がよりによって
そうおっしゃりたいのでしょう
ごもっともです
が僕も面白半分に望んだのでない
僕も孤独を選びたくなかった
そんなものを気取るつもりなどなかった
慣れなかった
苦しかった
辛かった
だいぶ異常になっていた(今でもか)
神様あなたはよくご存知のはず
我が子らもあんな思いをするのでしょうか
それがしょせん人生だとしても
どうか

神様
僕にはすでにご容赦くださいましたね
こんな僕にもお嫁さんが来てくれて
妻は信者ではありませんし
僕も信者にしようなんてしませんが
妻は二度もお腹を裂いて
二人の子を僕に会わせてくれました
信者ではなくても立派な母親でしょう
ちゃんと感謝しているんですよ
神様あなたにも妻にも
どうか神様
この立派な母親に免じて今一度
ご容赦ください
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が家族を孤独から守りたまえ

                                                         2018.1.24

 

 

 

 

 

 

 


友達が来なくて一人で登校する娘の後ろ姿に、父は大いに心をかき乱される。

そんな朝があるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに、追記します。

ウイルス騒ぎにより緊急事態宣言、休校措置。

もはや詩にした悩みが贅沢となりました。 

                                                          2020.4.18

 

腕組み

腕組みしたって
この頭じゃ知恵も出ない
気の利いた文章も書けない
肩こりも治らない
誰かと肩も組めない
自分一人の腕を組むだけ
女も抱けない

 

腕組みしたって
戦えない
羽ばたけない
旅立てない

ちょっと休んだら
その腕をほどいて
自分をほどいて
自分から
動け


                                     2018.5.18

 

選ばれなくても

   選ばれなくても

選ばれなかったら
残されたものなのか
残された者
残り者
余り者
はみ出し者
行き遅れ
乗り遅れ
はけただの
片付いただの
目にかなっただの
えらそうに

選ばれなかったら
その時選ばれなかっただけ
それだけ

なんだよ
事実を言っただけだろ
今に見ろ
残りものにも福が
昔から言うだろ

                                                 2018.1.15

 

 

冬将軍の戒め

久しぶりに白く化粧した庭
家族のうちで誰よりも早く見た僕なのに
傘を忘れたりするから
ないものはない開きようもない
傘も開かず
バス停で開いた本の上
雪がふりかかる

読むな読むな学ばせないぞ
彼方へ思いを馳せるなんてさせないぞ
お前はこの寒空の下の住人
この現場の当事者
学ぶふりして逃避などするな
言わんばかりに本の上
雪がふりかかる

早くバスの中に入りたい
現実逃避がだめならバスの中は
思う時に限ってなかなか来ない
こごえるふるえる
バスよ頼むから
探して顔を上げた本の上
雪がふりかかる

もう穴を開けてしまった
お義父さんのお下がりのセーター
妻は少し前から体調不良
子らはインフルエンザ
僕も土日は頭痛がしていた
雪を乗せた風がきついじゃないか
なかなかきつい

お前の家族が次々に病気にかかったのは
お前に笑顔が足りていないからだよ
足りていない格段に足りていない
そんなことを言いながら
北風がこのうなじを撫でてゆく
さすがは冬将軍の斥候
冬将軍はかくも厳しい

                                                        2018.1.25

 

 

 

 

 

 

 

 

 


雪を待って、投稿を控えていたら、とうとう3月になってしまいました。

今さらですが、載せてみます。

 

こちらは雪深い、ではなく雪浅い九州です。

やっと積もってこれくらい。

 

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写真は4年前です。

 

この冬はちらちら降る雪しか見ませんでした。

報いのおつり

友だちと連れ立って登校する娘
その姿その風景
なんてありがたい
なんという安堵
そうだこのために生きてきたのだ
歩き走り
怒り泣き
恥をかき恨み
悩み働き
どんなにみっともない日々でも
すべてこのためだったと思えば
なんて贅沢な
神様あなたを疑うようになってかなり経つが
神様あなたにおつりを払うべきかも

                                                  2018.1.15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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これも通学の風景か?

 

 

 

ちょっと、かわいすぎましたね。

以前、子どもたちがぬいぐるみで遊んでいた時の写真です。

 

笑えなくて

笑顔が下手なことは認める

が笑顔を忌み嫌うつもりもない

別に罪でも無かろうし誰が咎め

笑えるものなら笑いたいさ

 

笑顔が下手なことは認める

が笑顔を他人に任せた覚えはない

ここは誰かが笑ってくれたら

なんて考え甘えに過ぎないと分かっている

 

ならば遠慮なく笑え

存分に好きなだけ心ゆくまで

なぜ表情が硬いのかコンクリートみたいに

仏頂面という言葉があるね

考えてみれば仏様に失礼だ

信者じゃなくても分かる

 

亡くなった副社長から言われた

笑顔の練習をしなさい

言われたのにしなかった

逆らったのではないそんなつもりは毛頭ない

尊敬していた

直筆のメッセージも保管している

できなかった

不自然に思えて

笑うとは自由意志によって自然に起こる行為

意識して笑うなんて

などという理屈

結局逆らってしまったのか

 

副社長に義理はなかった

社員教育という義務はたしかにあるが

それは部長課長どころか先輩達にさせること

こちらは一二年めヒラの社員

義理はなかった

のにわざわざ声をかけたのは

心配してくださったのですね

側から見てよほど危うかったのですね

 

妻が出かけた

買い物があるという

子らは遅い昼寝

ふと思う

妻がこのまま帰ってこなかったら

その原因がこのコンクリートの頰だとしたら

まさに思い当たる節

副社長は何とおっしゃるだろう

 

だろうなんて推測

推測に過ぎないじゃないか

それより実際にもらった言葉があるのだから

ああこうして覚えていたのが精一杯だなんて

 

                                                      2018.1.28

 

 

 

 

 

 

 

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よそ様の花です。

 

言葉の中に

どうせ
どうせ
どうせという言葉
好きでもないのに
やたら頭に思い浮かび
思い浮かんでは口から出ていく
やたら口から出ていくなんてもはや
痰(たん)だなこれは

 

こんな詩を書いて初めて知った

痰(たん)という字に炎があるなんて

汚い粘り気の中に炎があるなんて

自分にしろ他者にしろじりじり炙り焦がす

炎があるなんて

 

好きでもない言葉
好きでもない単語

使う場面があるから発生し存在する

とは分かっているのだが
面白くないじゃないか
楽しくもないよ

その言葉その字の中にあるもの

その気配

 

どうせ使わざるを得ないよ

どうせ捨てられないさ
ならせめて
回数を減らすとか
ほかのもので代用するとか

 

今度はタバコみたいだな

もしかして中毒かね

タバコの中タバコみたいな言葉
その中に


                                     2018.5.10