詩を書いていたりします

時おり、詩のようなものを書いてきました。すみません。吐き出させてください。

 働き方

自分の職場に張り込みする阿呆

そんなに残業したいのか

給料に加算されないのに

そんなんじゃないよ

独りで作業したいだけ

今はおしゃべりもわずらわしい

 

自分の職場に張り込みする阿呆

どこから見張っているの?

どこからだと思う?

べつに特別なところじゃないよ

道路挟んだ向かい側

職場からは逆に丸見えさ

 

自分の職場に張り込みする阿呆

誰を見張るの?何を見張るの?

何をにらみ何を待っているの?

強いて言えば無かな

空っぽ

誰も居なくなった状態

 

自分の職場に張り込みする阿呆

そんなものが欲しいだなんて

手に入れたのは空っぽ

家では子らがもう寝たかな

ああお前たちの父は

こんな下手くそな働き方をしているんだよ

 

自分の職場に張り込みする阿呆

許してくれ妻よ

君の夫は

こんなかっこ悪い働き方をしているんだよ

浮気する甲斐性なんてないから安心して

これでも僕は働いているつもりなんだよ

 

                                              2018.8.10

傷たちへ

僕も君を否定したくない

僕だって否定なんかしたくもない

君ががんばってきたことを

あれほどがんばったことを

 

でも君が彼らを否定することは

その否定の仕方は

その否定したがる気持ちは

僕も否定しなければならない

 

なぜそんなに怒りを撒き散らすのか

それだけ傷ついてきたと言うのか

君が傷ついているという事実は僕も否定しない

僕も傷ついたと言いたい場面が山ほどあった

 

でも君はなぜ間違えるのだろう

君が怒りをぶつけた相手は

君を傷つけた犯人ではなかった

君の傷とは関係なかった

 

ああもしかしたらその関係の無さが

君と関係がないという事実が

君を苛立たせるのかも

僕も苛立ちを持て余す時間が今でもあるよ

 

でも君はなぜ気づかないのだろう

君と無関係な彼らは

君に新しい関係をもたらすかもしれない

君により良い影響をもたらすかもしれない

 

そんなにむやみに否定するなよ

とりあえず一回くらい試してみなよ

否定することなんて後でいくらでもできる

それからでも遅くないだろ

 

ついでに傷を否定してみないか

傷ついたという事実を否定してみるのさ

そんなに否定したいのなら

一番否定したいものがすぐそばにあるだろ

 

     +

 

おっと傷口め

余計なこと言うなよ

お前なんか痛くもなんともないんだからな

ただ思い出すと掻きむしりたくなるだけさ

 

すねるのはみっともないだと?

人である証拠でもあろうさ

 

 

                                                        2019.5.31

仕事をしているふり

仕事をしているふり

仕事をしているふり

誰も気づかないとでも思っているのか

仕事をしているふり

仕事をしているふり

それで仕事をしているつもりかよ

仕事をしているふり

仕事をしているふり

演技が下手すぎだね

仕事をしているふり

仕事をしているふり

少しは恥を知れよ

仕事をしているふり

仕事をしているふり

手を止めるんじゃねえ

 

失業は恥ずかしいよなぁ

社内失業は特に

 

仕事をしているふり

仕事をしているふり

そんな世間話には乗れないよ

仕事をしているふり

仕事をしているふり

今のお前が誰の役に立つのさ

仕事をしているふり

仕事をしているふり

この給金泥棒めが

仕事をしているふり

仕事をしているふり

お前は卑怯者だ

仕事をしているふり

仕事をしているふり

お疲れ様ってお前のどこが疲れてんだよ

 

なぜお前の言い訳に付き合わなきゃいけない

これも仕事のうちとでも言うのか

 

仕事をしているふり

仕事をしているふり

たぶん無駄になるだろうけど

いいさ仕事をしているふりにはちょうどいい

って何がいいんだよ

それで女子供を食わせていけるのか

お前一人食えるかどうかってところだろう

何一つ良くない                

    

                                                     2017.11.9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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これも川だ。





 

雨が降って

ぽつぽつと

雨が降ってきたよ

 

ほら

そのゴミ箱に突き刺さっているビニール傘

抜けよ人目があろうとも

抜けよ刀でも抜き放つつもりで

それで雨をしのげる

 

本降りになってきた

おーおー降れ

存分に降れ

降るがいい雨よ

それでお義母さんが庭に水撒きしないで済む

  

                                                  2017.12.11

 

 

 

 

 

 

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雨やどり、じゃないけど。

 

例によって、関係のない写真です。

きっとマンドリンの夜

そそくさと

決まってるじゃないか

そそくさと

二次会はご遠慮しよう

新しい人たちを駅まで送る

ついでにフェイドアウト

ここからはそそくさではなく

のろのろ歩いていく

 

深夜というほどではない夜の勝山公園

やれジョギングだとか影はそこここにあって

おや何か聞こえる

マンドリンというのかバンジョーというのか

いやあの影はきっと

奏者に尋ねる勇気もなく

そのくせ通り過ぎもせず

同じ川の土手に離れて座る

そのまま背を後ろに倒して夜空を見る

なかなかの音色じゃないか

かわいくて

どこかおどけていて

童謡か何かどこかで聞いたような

それとも外国映画の曲

しめっぽくはない

お金を払うべきか

こんなただ聞きして

途端に音がつまづく

やり直しにちょっと繰り返しになって

それもおどけて聞こえる

月が雲間で出たり入ったり

このまま寝てしまわないか

自分でもちょっと心配になって

奏者は心配してくれるかな

気を散らしたのは確かだろうけど

 

何のきっかけで立ち上がろう

が自分でもよくわからないうちに体が起きた

寒くなったからか

のろのろと土手の階段をのぼり

やはり歩み寄る勇気はない

ずうずうしい気もするし

だから

ちょびっとだけの下手くそな拍手になる

いい迷惑だろう

挽回しようと「ありがとう」なんて声を出す

声を上げる

言い放つ

言いっ放し

酒で乾いた喉でかすれ気味だ

届いたのか届かなかったかも

返事反応は期待してない

むしろ

あなたの演奏への返事なのだから

 

明日のイベントのためのテント

警備員さんが椅子で動かない

見張っている

こちらには「ご苦労さま」ももう出ない

職業で差別するつもりはないのだが

喉がかすれたのはもう分かった

働くってどういうことなんだろう

なんて問いを持て余しながら

この広い公園を出る

 

あの演奏があったからかな

そのあとの帰り道ではあまり歌わなかったよ

 

                                        2018.4.27

 

 

 

 

 

 

 

 

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夜の市場



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閉めた店先の猫

 

詩の舞台になった公園から少し歩いたところに、市場があります。

昼間は観光名所として人を集めますが、夜はこんな姿。

猫も、なかなか正面を向いてくれませんでした。

容赦を乞う祈り

神様
我が子らを孤独から守りたまえ
不信心者になって久しい僕ですが
不信心のくせに祈りなどおこがましいことは百も承知ですが
神様
我が子らを孤独から守りたまえ

神様僕のこの祈りは
やはり間違っているのでしょうか
孤独はべつに悪でも災いでもない
ごく自然なこと
自然に人にしみついている
しょせん人は孤独だと受け止める
それだけのこと
僕もだいぶ身に染みてきましたが
ああやはり祈りたい祈らずにいられない
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

ではどれくらい歳を重ねれば
孤独に慣れさせようか
ですから神様
ご容赦ください
孤独に慣れた者など僕には想像がつきません
修道士や隠者のエピソードをいくら聞いても
僕には想像がつきません
彼らも厳密には孤独ではなかった
あなたの存在によって孤独ではなかった
ああだから祈りたい祈らずにいられない
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

容赦などと
孤独はお前が望んだことではないか
孤独は人間が望んだことではないか
たしかにそうかもしれません
望んだかもしれません孤独を
でもあくまで僕個人が望んだことです
子らはまだ孤独を知りません
孤独というべき状況を経験しても
それに孤独という名があることを知りません
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が子らはまだ幼すぎます
ご容赦ください

子らにはまず母親が要る
なるべくなら父親よりも母親が
たとえ父親が欠けても母親が
女親と比べて男親がなぜ劣るのかといって
笑顔が格段に足りていないのだ
子らには次に友達が要る
一緒に登下校する友達が
遊び友達が話する友達が
どんなにくだらない内容でもかまわない
また会いたいと明日を待ち望む理由になれ

孤独を望んだお前がよりによって
そうおっしゃりたいのでしょう
ごもっともです
が僕も面白半分に望んだのでない
僕も孤独を選びたくなかった
そんなものを気取るつもりなどなかった
慣れなかった
苦しかった
辛かった
だいぶ異常になっていた(今でもか)
神様あなたはよくご存知のはず
我が子らもあんな思いをするのでしょうか
それがしょせん人生だとしても
どうか

神様
僕にはすでにご容赦くださいましたね
こんな僕にもお嫁さんが来てくれて
妻は信者ではありませんし
僕も信者にしようなんてしませんが
妻は二度もお腹を裂いて
二人の子を僕に会わせてくれました
信者ではなくても立派な母親でしょう
ちゃんと感謝しているんですよ
神様あなたにも妻にも
どうか神様
この立派な母親に免じて今一度
ご容赦ください
神様
我が子らを孤独から守りたまえ
我が家族を孤独から守りたまえ

                                                         2018.1.24

 

 

 

 

 

 

 


友達が来なくて一人で登校する娘の後ろ姿に、父は大いに心をかき乱される。

そんな朝があるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに、追記します。

ウイルス騒ぎにより緊急事態宣言、休校措置。

もはや詩にした悩みが贅沢となりました。 

                                                          2020.4.18

 

腕組み

腕組みしたって
この頭じゃ知恵も出ない
気の利いた文章も書けない
肩こりも治らない
誰かと肩も組めない
自分一人の腕を組むだけ
女も抱けない

 

腕組みしたって
戦えない
羽ばたけない
旅立てない

ちょっと休んだら
その腕をほどいて
自分をほどいて
自分から
動け


                                     2018.5.18