詩を書いていたりします

時おり、詩のようなものを書いてきました。すみません。吐き出させてください。

無理せず家長

パンを買ってきて
妻からのメール
食パン
ああ買ってくるとも
必ず買ってくるよ
食パン
命の糧のパン
そのために働いているのだから

馬鹿な妻
僕を夫に選んで
馬鹿な子ら
僕をパパなどと呼んで
妻よ僕はお前のために家事をするぞ
子らよ僕はお前たちにおもちゃを買ってやるぞ

子らの食べ残しは旨いな
飲み助の妻よ
今夜の夫は酒に付き合うぞ

先週妻に声を荒げた
その前の週は子の咳き込む声を聞き流した
そこまでして書きたいもの
描きたいもの
得たいもの
どれほどのもの
知るわけがない

子の咳き込みは親をなじる声
子のいびきは親への褒め言葉
息子がはねのけた布団を直す
何度でも直す
上の娘もこんなだったかな
もう思い出せない

幸せとは幼い子らのブロック遊び
ときどき取り合いっこするけど
今朝は絵みたいに並んで座っているじゃないか

子らは妻の手も取り合いっこ
子らは二人
妻の手は二本
左右に一本ずつつなげばいいのに
独り占めなんて息子よ
しつこいぞ僕みたいに
お姉ちゃんに少し譲りなさい
エスカレーターの下から怒る僕は
やきもちを焼いているんじゃない
三人もつれて転んだりしないか
心配しているんだぞ
本当だぞ

馬鹿な妻
僕を夫に選んで
馬鹿な子ら
僕をパパなどと呼んで
社長はもちろん
部長でも係長でもない僕だけど
今気がついた
お前たちが僕を家長にしてくれたのか

無理してるって
そうかもね
ほかならぬお前たちのためだもの
ほかのどうでもいい奴らのために
無理などするものかよ
いや
まだ無理とか言わないぞこの程度
こんな詩を書くひまがあるんだ
無理でもなんでもないぜ
                                                 2017.11.7

 

 

 

 

 

 

 



 

その昔、大江千里さんが「僕を選んだことを変えさせない」と歌っていた。当時はちょっと自惚れてないか、などと底意地の悪い解釈をしていたのだが。なぜだろう。サビの上手さか、クサすくせに、このフレーズを覚えていた。忘れられなかった。

大江さんの術中に、まんまとハマった、ってことか。

 

今回も、予約投稿です。