詩を書いていたりします

時おり、詩のようなものを書いてきました。すみません。吐き出させてください。

父が背中を押さなくても

父が背中を押さなくても
息子よ お前は足で宙を掻け
やがて
地に足が着かないような日も来るだろう
その時も
息子よ お前は足で宙を掻け
ばたばた
ばたばた 自分の足で
宙を掻け

父が背中を押さなくても そして
その手がどんなに非力でも
その鎖がどんなに冷たくても
しっかり握りしめて
息子よ お前は足で宙を掻け

お前は気づくだろう
少しずつ揺れることに
少しずつ
少しずつ しかし
少しずつも少しずつ増えて
今はこんなに揺れる
そう思えるところまでたどり着く
その先にも行ける
それまで息子よ
お前は足で宙を掻け

父が背中を押さなくても
息子よ お前は足で宙を掻け
これは命令じゃない ただし
この父から教えられることの一つなんだ
数少ない 教えられることの一つなんだ

父が背中を押さなくても
息子よ お前は足で宙を掻け
お前は今日
父の背中を押したぞ
父はそう感じた そう受け取ったぞ
そしてこんな詩を書いた

息子よ
お前は足で宙を掻け
空に向かってまっすぐ足を伸ばして
一番高いところまで足を伸ばして
そこで膝を曲げる
まるで空のどこかに足を引っかけるかのように
もちろん引っかかったりしない
また重力がお前を後ろに引き戻す
でも もう一度足を伸ばして
曲げて
伸ばして
曲げて
伸ばして
ほら あんなにも低かった一番高いところが
今はここまで高くなった
だから息子よ
お前は足で宙を掻け
いつの日か父が
お前の背中を押せなくなっても


                         2017.9.25  公園のブランコで